
鑑賞部会の今年最初のイベントであり、また緑区とは地縁の太い森会長からの呼びかけもあり、相模原三田会からは18名の会員が出席した。300人収容の城山もみじホール、今回初めて足を運んだがコンパクトでとても快適な空間だった。
第一部は小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトリーダーの津田雄一教授が登壇。宇宙なくしては人類の存在・存続はありえないと題した講演を拝聴した。「いとかわ」よりは若干大きいといえ、直径900mのコンパクトで低重力な小惑星「りゅうぐう」であるゆえの難しいコンディションのもと、敢えて数メートル単位の位置精度の着陸を敢行し、かつ銃弾で地表に衝撃を与えて地表下の地盤構成資料の採取に成功、史上類をみない画期的なミッションとの説明に聞き入った。
「はやぶさ2」はその第一の目的であった小惑星サンプルを2020年12月に地球に届けたあと、内宇宙の金星を利用し2024年にスイングバイを成功させ、第二のミッションである小惑星「とりふね」でのフライバイ、更にその後の更に小さな小惑星探査に向けて順調に航行しているよし。それなりのコストをかけて打ち上げた探査衛星を一度の使用で廃棄することなく可能な限り活用するJAXAの基本姿勢に話が及んだ際には、「はやぶさ2」の稀有壮大な宇宙の旅のスケール感に感嘆するとともに、それを運用する科学者・技術者陣の極々一般的な感覚に会場からも笑顔と共感の笑いが漏れていた。実に好感の持てる講演だった。
ところで私事で恐縮だが、平成16年にかつての宇宙科学研究所などの3組織が合体し独立法人JAXAが誕生した際、相模原研究所の建物全棟を不動産登記に反映させる業務に携わったことがある。その時は、担当職員の方にそれこそ地下施設から屋上の天文台まで、施設内をくまなく案内して貰った。印象的だったのは、レプリカ写真にある様に眩く輝く製造過程にある金色の衛星本体をラボ内でみかけたこと、(写真にはないが)一箇所と言わず階段の踊り場には空になった一升瓶の木箱が山積みになっていたこと。今思えば時期からしてそれが初代「はやぶさ」だったのかも知れないが、飲みつくされたお酒の量からして、宇宙開発の分野で国の命運を担う仕事の重圧は自分などとは比較できないくらいに大きいのだろうと妙に感心したことは、何故か今でもはっきり覚えている。
令和10年(2028年)に相模原三田会は創立40周年を迎える。その際には「はやぶさ2」のその後の航跡を津田教授に、それを受けて量子コンピューターが宇宙開発にどうのように貢献できるかを伊藤塾長に、それぞれ語って貰う、そんな周年記念事業としてのコラボ講演を大きな会場で実現できればいいな、上の宇宙クインテットにも弦楽演奏で花を添えて貰って、などと希望含みではあるが勝手に考えている。
第二部、上の宇宙クインテットによる「No Space, No Life」も公演も良かった。熊谷真紀さんのMCも素晴らしかったし青木高志さんのヴァイオリン・ストラディバリウスの響きも超が付くほど素晴らしかった。宇宙科学(天文)と音楽の相性、関連性が良いのは何も今に始まったことではない。ギリシャ・ローマ時代からリベラルアーツの自由七科として教養人にありたくばいずれも修養すべきとされてきた関係にある。相模原に新たな両者のハブが誕生したことは喜ばしい。相模原三田会としてこの動きを継続的に応援するのも、それはそれでひとつの摂理のように思う。
鑑賞部会 坂元 健(56経)




以下は案内時のコメントです。
*********************************
鑑賞部会として20名枠を確保しています。12月20日時点で残りは2名分です。
第一部はJAXA津田教授による宇宙についての講演です。
参加ご希望の方は、幹事長/事務局の坂元までご連絡ください。
携帯 090-2561-9245
コメントをお書きください